あなたは子供を産めますか

人はなぜ、結婚すれば子供を授かるのは当たり前と思うのでしょうか。

結婚して妊娠しない女性たちは、周りの人たちから「あなたに原因がある」と言われたり、言葉の端々に匂わされたりして、肩身の狭い思いをすることが多いです。

今回は、去年一番衝撃を受けたお話です。

付添人の夏木さん ボランティア活動に熱心な60代の奥様
お嬢様育ちの元公務員 いつも私の結婚相手を探している

2020年婚活 カツオさん ←第1話

2020年婚活 カツオさん続編 ←第2話

それ、禁句です

夏木さんとカツオさんの3人で、2回目に会った時のことです。

私は同い年のカツオさんから驚くべき質問をされました。

カツオ:「僕は子供が欲しいですが、どう思いますか」

わたし:「年齢を考えると養子を育てるのは難しいと思いますが」

カツオ:「いや、そういう意味じゃなく、実子が欲しいんです…」

わたし:「…はぁ?」

みたいな。

50代半ばのわたしと結婚を視野に交流したいと言いつつ、実子を望むとは一体どういうことでしょうか。

わたしは思わず早口で、「私は子供は産めません」と言い切ったあと、頭の中で「ウソでしょー」という心の叫びがこだまして、次の言葉がなかなか出てきませんでした。

コレって50代半ばの女性に聞くことなの⁈

20代30代の若い夫婦でも子供を授かるかは分からないし、40代で初産になる人は自然妊娠は難しいことが多いのに、なんということでしょう。

実子が欲しいなら40代以上の女性とお見合いするべきではないと思います。

或いはちょっと視野を広げて、実子は諦めて、子供のいる女性を紹介してもらったらいいのではないでしょうか。

紹介する方も、お世話する男性が子供についてどう考えているのか、あらかじめ確認してほしいところです。

わたし自身、子供を産めない年齢であることはよく知っているのですが、言葉にして伝えなければいけないことへの情けなさと悲しみが大きく、このあとしばらく心が塞いでしまいました。

仲人業の人から聞いた、若い人の離婚話

最近聞いた話ですが、お見合いで出会ったある若い夫婦が離婚に至った原因は、奥さんが昔から腎臓が弱く妊娠が難しいと分かったからということでした。

ご主人のご両親は、腎臓が弱いことをなぜ隠していたのかと、お嫁さん側と仲人さんをずいぶん責めたそうです。

奥さん自身は、腎臓が妊娠に関係するとは知らなかったらしいのですが、これについて仲人さんは「彼女は無知だった」と刃物のような鋭い言葉で言われていました。

これは特別な話ではなくて、当事者の女性は周りにいる全てといっていいくらい多くの人から、妊娠しないことに対してとても厳しい目を向けられるのが現実です。

恐らくこの女性は、立ち直れるか分からないほどの大きな打撃を受けていることでしょう。

そして、嫁ぎ先から戻ってきた娘を受け入れるご両親の、やり場のない気持ちを考えると、とても胸が痛いです。

悲しい女たちの歴史を感じる

妊娠するかしないか。

命の誕生は神の領域であって、人間に分かることではありません。

かつてのわたしの同僚は、医者から妊娠は無理だと言われていたのに、自然妊娠で子供を授かりました。

また、夫婦二人とも健康であっても、タイミングが合わなかったりして妊娠しにくいことがあります。

でもなぜかこういった場合、年齢のこともそうですが、男性優位というか、女性が一方的に責められ、見下されていることが分かってきました。

男性の方が生殖可能な期間が長いため、女性に対しての配慮を忘れるのかもしれませんが、男性こそ妊娠を始めとして基本的な身体の仕組みは知っておいた方がいいように思います。

幸せになりたい、誰かのために生きたい

若いうちに結婚して子どもを産み育て、次の世代に命を繋げていくのは天の願いですが、もし、あなたの大切な人が、永遠の愛を誓って結婚し、子供を授かることが出来なかったら、その人の結婚には価値がないと思いますか。

夫婦が愛し合って、信じて、尽くして、支え合っていく姿は美しいとわたしは思いますが、みなさんはどうでしょうか。

そして世間では、結婚を願う中高年の女性に対して、「子供も産めない年齢の女に生きる価値はない」という厳しい意見が見受けられます。

子どもを産めないから人間的な価値がないと言うのは冷徹な気がして、結婚観は人それぞれだなとつくづく感じました。

幸いにしてわたしは、50代にもかかわらず「聖書の中に、人がひとりでいるのはよくないと神様が言われたと書いてあるから」と、周りの人たちが結婚相手を探してくれています。

人はみんな、幸せになりたいと思っているでしょう。もちろんわたしもそうです。

幸せは一人きりでいて自動的に湧いてくるものではなく、そこには必ず人と人との関係、特に夫婦関係、親子関係があります。

わたしの残りの人生は、人にお世話してもらいながら自分の為だけに生きる人生じゃなく、誰かのために生きたいし、幸せになりたいという心からの願いがあるので、希望を忘れずに明るい気持ちで過ごしていきたいと思います。

未来を信じて。

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