幼馴染みのよっちゃん(仮名)は、ご主人の転勤で日本各地を転々としましたが、今は家を買ってうちから車で25分くらいのところに住んでいます。
よっちゃんと私は2月生まれで、小学校1年生から高校卒業まで同じ学校、テニスや合唱の部活も一緒、なぜか結婚した時期も同じで、その頃着ていた服もお揃いの色違いだったりしました。
そして、お互い転勤によって故郷を離れているのに、こうして近くに住んでいるとは、不思議なご縁といいますか、腐れ縁といいますか。
私は30歳で離婚し独身のまま過ごし、片やよっちゃんは自衛官の妻となって二人の男の子を立派に育て上げ、本当に逞しくなりました。
去年の春、よっちゃん宅に保護猫クロちゃんがやって来たというので、様子を見に行ってきました。
自衛官と結婚した同級生よっちゃん
音楽の才能溢れる元お嬢様
演奏会の曲目と保護猫クロちゃんが「Emotional High」だった
大人になりきれてない保護猫クロちゃんは、溢れる生命力と野性味が特徴の男の子です。
美味しいご飯を食べているのでしょうね、むっちりとして牛のよう。
躾の最中ということで、少々凶暴につき爪で掻かれて破れてもいい服を着てくるように言われていました。
油断して、ちょっとでも手をヒラヒラさせると、遊びたい盛りのクロちゃんが飛び掛かってきてこちらは傷だらけになります…。
よっちゃんが躾に手を焼く様子に、かつて飼っていたうちの猫も、背中に飛び乗ったり、甘噛みがキツかったり、流し台に上がったり、かなりお転婆だったことを思い出しました。
動物と平和に暮らすには、諦めずに、地道に正しく躾けるしかないですね。
よっちゃんが私のリクエストに応えてエレクトーンを弾いてくれる傍から、「今は僕と遊んでほしいの」と言わんばかりに、楽譜を踏みつけて激しく甘えるクロちゃんには、お腹を抱えて笑わせてもらいました。
守り猫の役目、果たします
この日よっちゃんに会ったのは、ひと月ほど前にうちで飼っていた猫が亡くなり、力になってもらったお礼を兼ねてだったのですが、ペットロスの中でいい気分転換になりました。
シャトレーゼのケーキでお互い誕生月を祝い、エレクトーン聴きながら、猫とじゃれる、最高の一日。
よっちゃんはよく笑って気が緩んだからか、ご主人が自衛隊を退職されたからか、現役時代の生活を少し話してくれました。
「パパはね、家で寝る時にパジャマを着たことがないの。何事かあった時に、一秒でも早く家を出られるようにって。」
「パパがどこに行ってるか、いつ帰ってくるか、分からない時もあるのよ。」
「被災地から帰ってきても、何も話さないの。だから家族でも分からないこと多いの。」
そして、パイロットだったご主人が事故することなく、仲間を怪我させることもなく無事に退職を迎え、心底安堵したようです。
日本の平和は、その代価としてたくさんの汗や涙を流し、高潔な犠牲を払う人がいてくださって成り立っているのですね。
ところで、古代エジプトの時代から、猫は飼い主を守る「守り猫」と言われているそうです。
活発な保護猫クロちゃんは、踏ん張ってきたよっちゃん夫婦にピッタリです。
きっと二人の心の疲れを癒してくれるでしょう。
猫背の後ろ姿は小さく見えるけど、実はすっごい大きいクロちゃんです。