うちで17年という歳月を共に過ごした2匹の保護猫は、地域のボランティア団体だった動物里親の会から譲り受けました。
その団体は当時、保護した犬と猫のために里親さんを探そうと、買い物客が溢れる賑やかな街角で熱心に活動されていました。
ケージに入った動物に憐憫の情が湧いてくるのか、道行く人から寄付や餌の差し入れがあり、多くの人が関心を寄せていました。
動物の里親さんになれる人とはどんな人?
どんな猫がいるのか見に行った時から、動物里親の会とお付き合いが始まったわけですが、そばで活動を見ていると多くの苦労があるように感じました。
代表の方は、里親になってくれるなら誰でもいいわけではないといつも言われていました。
一番神経を使われていたのは、最近も世間を騒がせている動物虐待についてでした。
果たして目の前にいる里親希望者が、動物を家族の一員として最期まで愛情を持ってお世話できる人かどうか、見極めるのは難しく責任重大です。
ですから、なかなか簡単には動物を渡さないのですが、その姿勢はとても好感が持てました。
スタッフ皆さんと交流するうちに分かったのは、動物たちが里親さんの元で幸せに暮らすための判断基準でした。
まず、一人暮らしの独身女性は里親には不向きなので、譲渡しませんとのこと。
理由は、結婚や同棲で簡単に動物を捨てるからだそうです。
(私がなんで譲ってもらえたかというと、「顔見て、大丈夫な人だと分かるから」って言われました。おほほ。)
そして、面談しながら本人だけでなく家族の意向も確認していきます。
飼うことを快く思わない家族がいると、動物が幸せになれないことがあるからです。
また、里親希望者の家を見に行って、飼育環境の確認と手直しした方がいいところがあればアドバイスをして、整えてから引き渡しされていました。
そうそう!!
厳しく言われたのは、猫は絶対に完全室内飼いです。
怪我はもちろん、ご近所トラブルや捕獲されての虐待を避けるためです。
うちの辺りでは完全室内飼いが当然なのですが、家と外とを自由に行き来する地域はまだ多いのでしょうね。
うちの保護猫ちゃんが2匹になった理由
うちの猫は、公園で生活していたところを保護されました。
初めて会った時は、母猫と子猫2匹がひとつのケージに入っていて、子猫はまだ5ヶ月ぐらいだったでしょう。
「年を取ると貰い手がつかないから、親猫の方を貰ってほしい」と頼まれ、私は1匹だけ、母猫を引き取ることになりました。
一緒に行った母は、子猫の方が可愛いのにと少し不満だったようですが、私はどちらでも良かったです。
そうして母猫を引き取ってしばらく暮らしたのち、里親の会で避妊手術をしてくれるというのでまた預けたのですが、終わって引き取りに行ってみると…。
なんとそこには、貰った母猫とまだ引き取り手のない子猫が同じケージに入れてありました。
子猫を舐めながら、たっぷりと愛情表現をする母猫。実の親子である猫たち。
親子3匹が一緒に保護されたというのに、1匹だけ置いていくのは気の毒だと切ない気持ちになりましたが、当時の私には2匹飼うことは大きな負担に感じました。
それでも結局は、代表の方に「この2匹は親子なんよ。いいの?このまま親猫だけ連れて帰って、親子を引き離して本当にいいの?」と情に訴え掛けられて、見事に落ちて2匹とも連れて帰ることになりましたが。
そうして、猫たちが月まで這っていって星になるまでの17年、楽しかったし、癒されたし、何よりも私自身が猫たちよりも長生き出来て、最期を見届けられたし、本当に幸せでした。
保護した人と里親さんにお伝えしたいこと
保護した動物が、最期の時まで安心して暮らすためには、私たちはどうしたらいいのでしょうか。
まず、誰かに譲る場合は、幸せにしてくれる里親さんを焦らずに探してあげてください。
そして、残念なことに、どんなにいい里親さんを選んでも、相性が合わなくてまた帰ってくることがあります。
そうなったとしても、新しい里親さんが見つかるまであなたの愛情を注いであげてくださるようお願いします。
餌を食べなかったり、脱走や夜泣き、人になつかないなどもよくあることです。
何が原因か、調べたり人に聞いたりして、環境を整えてあげることが必要であれば是非そうしてあげてください。
うちの場合、母猫が自ら私の膝に乗ってくるまで7年もかかりました。
その瞬間は凄く感動したけど、私が子猫ばかりかまっていたのが原因と気付いて、甘えたくても我慢していた母猫に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
猫も人間と同じですね。